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クレタたちは草壁寮長から逃げると、異界の扉が見える場所まで走り続けるとクロノが一つ溜め息を吐いた。
「はぁ、マヒロは異常すぎるね。肉体強化魔法を使っているとはいえ、魔動バイクに走って追いつく人なんて中々いないよ。」
「そう?鍛えてれば割とこのぐらいは楽勝よ?」
「流石だな。確か学院内白兵戦成績歴代最高…だったか。」
クレタとクロノは魔動バイクで移動しているのだから早くて当然だが、それに追いつける速度のマヒロは流石といえるだろう。
しかし問題はここからだ。
既に扉の前、逃げるために一緒に行動したとはいえ流石にこの後も一緒というわけにもいかない。
そう思いクレタはマヒロに聞いてみた。
「ところでマヒロ。お前はどうするんだ、帰ったほうがいいんじゃないのか?」
「えっ、いや、私は…
クレタとクロノを放っておいたら何するかわからないから私も行きたいけど、明日も学校があるし…でも…」
俺の提案にマヒロが指と指をつけて突然モジモジし始めながらボソボソ言いはじめた。
いや、下を向かれてしまったら何をいいたいのかわからないんだが。
「そうか。それじゃあクレタ三人で行こうか。それにマヒロも本当は行きたいみたいだしね、まぁ誰かさんとなら場所はどこでもいいみたいだけど。」
クロノの発言にマヒロが顔を赤くしてクロノに殴りかかるが勢いだけのパンチなため、クロノは軽く避けてマヒロの後ろに回りこんだ。
そのままクロノはマヒロの背中をトンッと押して俺にぶつからせた。
「ほらクレタ、パース」
俺は意味がわからないが、バランスを崩し倒れかけたマヒロを抱きかかえてやると、マヒロの顔が真っ赤になっていることに気が付いた。
「って、おい!!マヒロお前顔真っ赤じゃなねえか!!
クロノお前何かしたのか?」
「こんな短時間で何か出来るならしたいけど、ね
マヒロに何かしたら異界の扉に入る前に死んでしまうよ。」
ケラケラと笑うクロノを他所に、クレタはマヒロを本当に連れて行っていいのかと少し不安になってしまった。
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