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その後はただひたすらに同じことを繰り返すだけだった。
見張りの兵士が来てはクロノが相手を見下したように仮面をずらして一言言って兵士を帰し続ける。
そしてクレタがそれを見ながら関心を示すと、マヒロが近くの石を塵に返す。
そんな単純な工程と悪循環を繰り返しながら扉の目の前にまで一行はようやくたどり着いた。
扉は間近で見ると複数の結界が張られており、兵士は多少見回りをしているが、扉の周りに待機している兵はあまりいなかった。
そして扉の周りは真夜中で魔法も使われていないにも関わらず、ライトアップされていて明るかった。
どうやら結界の魔力が強いっようで、魔力が結界から漏れているようだったが、それが真夜中の暗闇にマッチしていて光る雪が降るように綺麗だった。
「はぁ、ようやく着いたね…近くに比較対照が無いから案外近く感じてることもあるけど、やっぱり遠いね」
「そうね、この距離は流石に疲れたわ…ところで扉はどうやって開けるの? 近くの兵士に聞いたほうがいいんじゃないの?」
「あーそれなら大丈夫だ、扉は今開けるから」
「ちょっと何言ってるのよ、開けられるわけないでしょ、これって王国管理だから開くには王国関係者の力が必要でしょう?
一体どうす…」
首にかけてある鍵を巨大化。
鍵の先を扉に向けてクレタは叫んだ。
「我、契約せし者。奇跡も無く、希望も無い。我が暗闇を照らすは其の光。我が進むは果て無き覇道。……その光は世界の理を紐解くもの《開》!!」
クレタが叫ぶと、手にしたカギが光輝き、扉へと向かって一筋の光を放った。
そして光の筋は扉に当たると拡散し、
門を閉じていた結界を一つ残らず、粉砕した。
粉砕され砕け散る魔法結界は綺麗に飛び散り、ライトアップされた世界を一際輝かせ、魔法結界を砕いた者を一際美しく見せるかのように月明かりに輝いていた。
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