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真夜中に魔法の結晶である粒が光輝きながら降り注ぐ。それだけ。
ただ今まで扉を無理矢理開けられないように閉ざしていた結界を破壊した。それだけ。
その結界の破壊を行なった人物は最高潮に達したテンションを表すかのように、魔動バイクのエンジンを入れると嬉しそうに叫んだ。
「よっしゃあ行くぜ。クロノ、マヒロ!!振り切るぜ!!」
破壊された結界に見とれていた少年は、その美しさを生み出した自由という言葉の似合う親友に憧れに似た感情を抱く。
「了解、マヒロしっかり掴まって」
少女は一人の少年に恋をして、その少年とその親友の理を無視する少年二人に関わったことでこれから起こる出来事を自身で見ることになる。
「え?えぇ!!?ちょっとアンタ達一体何したの!!」
結界が破壊されたことにマヒロは呆然としたが、すぐに現実に引き戻されるが落ち着くことは出来ずに騒ぎだした。
しかしクレタもクロノの興奮のあまり聞こえていないようで気にしない。
結界魔法の効力が無くなり、《異界の扉》が開き始めた瞬間、クレタは魔動バイクのアクセルを思いっきりひねった。
クロノは楽しそうにクレタの後ろに飛び乗ると、未だに騒いでいるマヒロの手を無理矢理掴む。
しかし綺麗な舞台もここまでのようで、扉が開いたこの瞬間、この突然の事態に気が付いた兵士が辺りから集まってきた。
この愚鈍な対応、横槍入れるにしてもタイミングは最悪…でも流石にそろそろ行かねぇとマズい。
彼はふとそんなことを思った。
扉が開いてきたが、扉の向こうは暗く…何があるのかはわからない、しかしそれが更にクレタの好奇心を刺激していた。
そして辺りを見渡し兵士達が血気盛んな目で睨んでくる中心、クレタは思い出したように言った。
「あぁ、マヒロ俺達は一つだけ言い忘れていた。
これ、別に国に許可取っ手ねぇから…犯罪な」
「はぁ…なんとなく察してたわよ」
クレタは魔動バイクのエンジンを限界まで溜めると、溜めた力を爆発させ、一気に最高速度にまで魔動バイクを到達させると一陣の風となって疾駆した。
そして扉が完全に開いた瞬間に、彼らは扉の中に吸い込まれるように消えていった。
ここから話は始まる。
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