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『昨晩、世界的に有名な富豪ドンチェイ宅より金塊が盗まれるという事件が発生しました。当局の調べでは--』
野宿をしていた俺は自分の魔動バイクから聞こえてくるラジオを聴きながら起き上がると
欠伸をもらしながら、カバンから手鏡を出して覗き込むと
ある程度整った顔立ちと、ボサボサになった茶色い髪が映る。
特に誰に見られる訳でもないが、一応の身だしなみというべきか、寝癖だらけの髪を整え普段通りのウルフヘアーに戻す。
本来なら学校に行っているはずの俺がこんなところで野宿をしているのには理由がある。
「停学処分を喰らうとはな、まぁ退学にならなかったぶんだけマシか。」
喧嘩を繰り返ししていたら、間違えて王国騎士団の兵隊を殴り飛ばしてしまったのが流石にマズかった―なんて考えていると懐から一枚のカードが転がり落ちた。
カードには『クレタ=シャンクス』と書かれていて、それが彼の名前だということを物語っていた。
それを慌てて拾うと、そこに書かれていることはどうでもいいのだが、最低限の身分証明書として使うために懐に入れ直す。
懐にカードを入れ終わると、クレタはネックレスのように首にかかっている鍵を取り外し、魔動バイクを鍵で一回叩きエンジンを入れた。
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