プロローグ

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勢いに任せ風を切りながら魔動バイクを走らせていると目の前にはビル十階分はあろうかという扉が見えてきた。 扉の周りには幾重にも結界が施されている。 更に配属されている警備員や王国騎士もネズミ一匹逃がさないように見張りをしている。 どうやら扉の近くが騒がしいようでクレタは扉の近くに魔動バイクを走らせ騒ぎの中心へと向かうと… なるほど、どうやら下級中の下級魔族、スライムが迷いこんでいたようだ。 あの扉は昔、大きな戦があったらしく敵国であった外界の侵入を塞ぐために巣百年前に作られた扉らしいが詳しくは知らない。 というよりかはそう習い聞いていたからそうとしか知らない。 クレタがそんなことを思っているとスライムが騎士に退治されたようだ。 騒ぎは収まり、警備員や騎士は再び各々の所定位置に戻って行く。 クレタは侵略とみなされ無残に退治されたスライムをみると、潰された核が周辺に飛びちっていた。 しかし特に興味も沸くことなく視線を逸らした。 だが視線を移した先にあった巨大な扉には興味はあった。 戦争時代に作られた扉だったが、何かのバグなのであろうか、こうして稀に扉の向こう側から他の世界の下級魔物が来る。 つまり向こうにも世界はあるのだろうという確証を持てる。 扉は数百年もの間公式には開いていないらしいがクレタはわずかな興味本位を捨てずに胸のうちにしまうと、再び魔動バイクを走らせて門から離れた。 「そうだ、俺には方法がある、向こう側へと渡る方法が!」 門を離れていく最中、クレタは首にかけてある鍵を掴むと鍵に魔力を込めた。 鍵は光輝くとクレタの等身大はあろうかというサイズまで大きくなっていた。
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