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日は沈み、闇が世界を支配する夜。
クレタはクロノを迎えに来たため、学生寮の前で待機していた。
「うぅ、寒ぃ。早くクロノ来ねぇかな」
暗闇の中、クレタは魔動バイクに腰かけコーヒーを飲みながら寒さに耐えていた。
しばらく待っていると学生寮の窓に仮面をつけた男が見え、クレタは「来たか」と呟いた。
しかし、どうも様子がおかしい。まるで何かに怯え逃げているように…
そう感じた瞬間、窓ガラスの向こうで男は誰かに捕まり、そのまま背負い投げをされる。そして窓ガラスに激突しガラスを割り、こちらに向かって飛んできた。
クレタは身の危険を感じるとその場所を飛びのいた、すると避ける前にクレタのいた場所に仮面をつけた男…クロノが降ってきた。
当たり前の話だが魔動バイクごと避けたわけではないので、魔動バイクに直撃したクロノはそうとう痛そうだ。
しかし問題はそこじゃない、明らかに悪意がないと投げ飛ばしはしない。
クレタは危険を感じ、鍵を巨大化させて窓の向こうの人物に注意を注ぐが、足元から柔らかな声が聞こえて一瞬構えを解いた。
「痛っ…やぁ、クレタ待たせたね。」
「一体どうした、誰に投げ飛ばされた。」
軽くあいさつを済ますと、クロノは何かを思い出したようで半分だけ見える顔を青ざめて、慌ててクレタの後ろに隠れた。
「一体いきなり隠れて、どうしたんだ?」
クロノは何も言わずに、先ほど飛んできた自分の部屋の窓を指差した。
クレタは訳がわからぬままに、クロノの飛んできた窓を見ると、そこから一人の人が飛び降りるのがみえた。
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