るんるん春るんるん

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「ただいま戻りました。」 玄関の戸を開ける音の少し後、そう聞こえた。 鈴仙・優曇華院・イナバ。長ったらしい名前の玉兎である。 ※玉兎…月の兎の事。 彼女は師匠(永琳)の作った薬を人里などに売りに出ているのだ。 「ま、まずい! なんかないかっ!?」 「脱ぎたての下着なら!」 「それは別の意味でまずい!」 それを被せたとしても、耳は出るからね、輝夜さん。その間にも鈴仙は近付く。 「あった! これなら何とかなるだろ!」 この際何でもいいのか、襖を開け、偶然手にした物を咄嗟に被る。 次の瞬間、鈴仙が襖を開いた。 「お帰り。」 「鈴仙、お疲れ様。」 「はい。で、突っ込んでいいですか?」 輝夜が鈴仙にお茶を出し、鈴仙は空人と輝夜の向かいに座った。 「空人はなんでルーミアにかじられているんですか?」 「いや、手頃な所にルーミアが。」 「帽子じゃあるまいし……。」 今や空人の顔は色々な意味で真っ赤だ。輝夜は肩を震わせながら笑うのをじっと堪えている。 「ただいまー!」 ……しかし、どうやら最大の敵が帰ってきた様だ。 因幡てゐ。地上に昔から住んでいる竹林の兎達のリーダーだ。悪戯が得意で空人もたまにおちょくられている。 今の状況から、瞬時にいじられるのは確定的に明らかである。
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