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私とお兄ちゃんは十年前の今日……兄妹になった。
あの日、私は訳も分からないままお母さんの後に着いていった。
「ママー、どこいくの?パパは?会いたいよー」
「ごめんね、梓…」
お母さんは私の質問に対して、悲しげな表情を浮かべた。
お母さんが私を連れて向かった先は、大きな家だった。
お母さんがインターホンを押すと、中からお母さんと同じくらいの年の男の人が出てきた。
「おまたせ」
「うん。待ってたよ。…そこの女の子は、娘さん?」
「ええ。梓(アズサ)っていうの」
「そっか…。ほら、優もこっちにきなさい」
男の人の後ろから、私と同じか少し年上くらいの男の子が顔を出した。
「優(ユウ)、この女の子は梓ちゃん。少し梓ちゃんと遊んでてくれるか?」
「うん!梓ちゃん、あそぼ!」
「…うんっ!」
私達はとても仲良くなった。
そして、お母さんから優君と私は"兄妹"になったと言われた。
まだ幼かった私にはあまり理解できなかったけど、優君…、お兄ちゃんのことが大好きになった。
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