はじまり

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お兄ちゃんはリビングのソファーに座ってテレビを見ている。 私はお兄ちゃんが座っているソファーの隣のソファーに座っている。 お兄ちゃんは優しそうな目に、すっと通った鼻筋。綺麗な地毛の焦げ茶の髪。かなりかっこいい。 あ、お兄ちゃんが私の方をみた。 「なーに俺のとこ見つめてんの(笑)」 バレてたらしい。 「いやあ…お兄ちゃんはイケメンだな…って」 「なにそれ(笑)あずもかわいいよ?」 うわっ!表情一つ変えないでそんなセリフを! 私はたぶん顔真っ赤なのにな…。 「ね、ねえお兄ちゃん大学って何処いくの?」 「話そらしたー。んー、東京のとこ」 「…は!?」 東京って…初耳なんですが!! なんか…秘密にされてたみたいですごい落ち込む…。 もしかして冗談?……あ、今日って…。 「嘘でしょ?エイプリルフールだし…。わあ、騙された!」 わざと大袈裟に言う。 「ちがうよ。真面目に行きますよー?」 「え…。家…は出ないよね?」 期待していた言葉と違う言葉がお兄ちゃんから出てきた。 「出る。東京…の近くのアパートに一人暮らし」 「えっ!!?」 ということは…もうお兄ちゃんと家で暮らせない……。 自然と目から涙がこぼれ落ちた。
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