はじまり

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「わっ!!あず、泣くなよ…」 お兄ちゃんが私の隣に座り、涙をふいた。 「っ…。だ、だ…って」 「もう一生会えなくなるわけじゃないんだし……な?」 「……私も東京いく」 思わず口から出た。 「は!?…あず…ごめんな。お前は連れて行けない」 「…っ。そんなこと…わかってるけど……っ。」 「あず……ほんとごめんな…」 ごめんって思うなら東京になんて行かないでほしい。 …そんなこと言ってもお兄ちゃんを困らすだけだ。 「お兄ちゃん……大好き」 「え!?…あ、俺もあずのこと大好きだよ」 たぶんお兄ちゃんは兄妹としての意味だと思ったのだろう。 違うのにな…。 「…いつ、いくの?」 「…あー、明日」 「明日!?」 予想外の言葉に私は驚きを隠せなかった。 「お兄ちゃんなんてとっとと行っちゃえば!!」 「………。」 私はダッシュで自分の部屋へ行き、乱暴にドアをしめた。 あー、鍵とかついてればなあ…。 …というか、私、完全な逆ギレだよね…。 お兄ちゃん、呆れちゃうよ…。 私はベッドに横になって、声を押し殺して泣いた。 次第に、意識が薄れてきた。
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