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「…終わり」
「"ローレライ"って…」
「うん。金髪碧眼ってところも同じだし。だから、ぜひ聞かせたくって…それで、王様なら何か知ってるんじゃないかな」
ローレライは驚いた。
「なんで?これってただのおとぎ話でしょ?なんでわざわざ父様に?」
「えっと、実はこの話の最後にね
『P.S.うちのバカ息子は、彼女のことが好きだったようだ。バカだとは思っていたが、ここまでバカだったとは』
って書いてあるんだ」
「つまり」
「実際に"少女"は居て、この話も実話だったっていう可能性も否定できない。しかも、多くの船人が死んだって表記があるから、何か記述が残っているかもしれない」
「すごい!これだけでここまで考えられるなんて」
「普通だよ。ローレライがおかしいんだよ」
「あ、さりげに私がバカだって言ったわね。…まあいいわ。父様に聞いてみる」
「よろしくね。俺も調べてみるから」
「その"ローレライ"ってのも気になるしね」
そのとき、びゅうと、突風が起こった。
「きゃあ!」
「…今のはすごかったね」
「本当」
ローレライは、ブルッと身震いした。
「なんか寒くなっちゃった」
「春って言っても、まだまだ寒いしね」
「じゃあ、もう帰ろうかな」
「うん。またね」
こうして、ローレライはフェリクスに手を振りながら、城へ戻っていった。
――このとき、ローレライはまだ知らなかった。
この昔話が、自分の人生に多大な影響を与えることを――
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