fortune-運命-

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ここはプレシア王国。 現在、アストリア家が政権を握っている。 これはプレシア王国第12代国王クラウス=デュオス=アストリア時代のお話。 「父様!!」 ローレライ=カルヴァーン=アストリアは、王である父の執務室を勢いよく開けた。 「なんだ騒々しい。扉は静かに開けんか」 王はいつものことなので、ローレライの方を見向きもせずに答える。 「父様、ちょっとお話がありまして。よろしいですか?」 父のいつもの小言を無視して、彼女は続けた。 また王は、ローレライの方を見向きもせずに答える。 「なんだ。20字以内で述べよ」 「え゛…っと、お見合いってどういうことですか、と。よし15文字!!」 ここで王はやっと、娘の方を向いた。 「うん。お見合いとはな、結婚相手にどうだ、という売れ残った男女が保護者同伴でお互いに面会することだ」 「父様…今世界中のお見合い結婚者を敵にまわしましたよ…じゃなくて!!なぜ、私がお見合いしなければならないのか、ということです!!」 「そういうことなら、そう言いなさい。ぴったり20文字だ」 「あ、ほんとだ。じゃなくて!!」 「お前ももう17だ。そろそろ嫁ぎ先を決めてもいいだろうと思ったんだ」 「父様。私、この間16になりました」 「……」 「とにかく!そういうことは勝手に決めないで下さい!じゃあ、失礼しました!!」 そう言うと、ローレライは勢いよく扉を開け、姫君にあるまじきスピードで廊下を駆けていった。
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