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いつものように城を抜け出し、街一番の大木・クイーン=マリアの木の下へ行く。
「フェル!」
そこには、いつものようにフェリクスが優雅に本を読んでいた。
ローレライの声に気づき、ゆっくりと顔をあげるフェリクス。
「やあ、ローレライ。今日も来たんだね」
「なぁに?来ちゃいけないの??」
「いや、よく飽きないなって」
フェリクスは微笑みながら言った。
ローレライから見てフェリクスは、物知りで穏やかな、柔らかい感じのする青年だった。
そんな彼に、彼女は、恋してた。
「どうしたの?」
ぼやあっとフェリクスの笑顔をながめていたら、フェリクスが尋ねてきた。
ローレライはあわてて言葉を取り繕った。
「えっ…とぉ、あ、ねえ、何か新しい話ないの?」
ローレライが、この場所に通うようになった理由は、フェリクスの話すおもしろい城下町の話に惹かれたからである。
それ以来、ローレライは、彼の話を聞きに、この場所へ頻繁に通っているのだ。
「うん。でも話っていうか、お祖父様の日記に書いてあった事なんだけど、これローレライに聞かせたくって」
「え、なになに?早く早く!!」
ローレライにせかされて、フェリクスは、次のような話を話した。
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