102人が本棚に入れています
本棚に追加
/206ページ
──────
一方少し離れた傍らで──
その二人の様子を
バラの樹の死角から窺う
一人の影。
アリアの話しが終わったのち、その場から去るその人影。
その際、太陽の光に反射して、
何かが腕にキラリと光った──
アリア「あっ、それで答えとしては、
17才で孤児院を出ないと
いけなかったんで…
身寄りもいないし、
家もないから、
泊まり込みで働ける"此処"に来たんです。」
エル「………」
エルは表情を変えず、さっきから口を閉ざしたままだ。
なんだか申し訳なくて、
えっと…とアリアが口を開く。
アリア「すみません、なんか…
こんな暗い話しになっ…」
エル「いやっ!!!」
突然の大声に、アリアの肩がびくっと跳ねる。
エル「…アリアは悪くねー。」
ガタンッと席を立ち、
私の隣に来た、と
同時に私の腕を掴み
立たせられる。
瞬間、
全身に心地良い
温もりが広がる。
ぼすっと音を立て、
私はすっぽりと
包まれるように、
エルに抱き締められていた。
.
最初のコメントを投稿しよう!