Blank Relation

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そして時は丑の刻、 夜中の2時。 宮内の使用人も ほとんど寝静まった頃、 すっかり明かりが落ち、 月明りが仄かに射し込む 暗い廊下で、小さな火が 蠢く二つの影を落とす。 そしてある部屋の前で 二人が立ち止まった。 「それじゃ、俺はここで。 …今日はお疲れ様でした。 おやすみなさい。」 定時調査から 静かにひっそりと帰ってきた ウィルとレヴィンだ。 「ああ、お前もご苦労だった。 …今夜はしっかり休め。」 「はい、ありがとうございます。 では…」 バタン、と重い戸が閉められる。 「………ふぅ…」 あまり表情を 表に出さないウィルだが、 今回ばかりは かなり疲れているようで、 苦い苦い顔をして 目頭を押さえて軽く俯く。 (シャワーでも浴びて、 さっさと寝る、か…) 月明りを頼りに机に向かい、 その上に置いてある 小さな蝋燭だけに火を燈す。 そして、徐に自室にある 簡易なシャワー室に向かう。 本当は立派なプライベートバスがあるのだが、当の本人は 行く事すら面倒なのだ。 .
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