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ウィルは、まだ何となく
寂しそうな顔のまま
薔薇を見つめ立ち佇んでいる。
それにエルは少々苛立ちを覚えながらも
扉のノブに手を掛けた。
嗚呼、ダメだ…
「それとさぁ…」
やはり我慢できずにエルは
ウィルに低く凄んだ。
「…二度と
アリアを泣かせんじゃねー。」
「………」
ウィルは無言で、目をいっそう細めて
睨む勢いでエルを見据える。
そんなウィルに構いなく
強く静かに続けるエル。
「は、知らないフリってか?
しらばっくれんなよ…
泣いてたんだぞ、アリア。
あんたに仕え始めた初日…
…分かってたんだよな?」
「………」
「──…っ!!!」
未だ無言でやり過ごそう
とするウィルに、
益々イライラして、今にも
飛び掛かりそうなエル、だが、
「…もういいさ。
お前には関係無かったかな??
このクソ王子様…?」
「………は?」
流石に少々頭にきたのか
やっと反応をする。
「…クールが売りのあんたが
そんな顔すんじゃねぇよ。
とにかく…」
まだまだ喧嘩腰のエルだが
最後に言い放った。
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