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「す…すまなかった…
私は…焦っていたのだ…」
本当にすまない、と最後に
もう一つ付け加えて。
そんな未だ、苦々しい顔の
ウィル様が居た堪らなくて。
「以前の『もうそれ以上の
謝罪は不要だ』というお言葉、
そのままお返し致します。」
苦笑いになってしまいそう
だけど、
なんとか笑顔を浮かべる。
そうして、ウィル様にも
笑ってほしかったから。
私の言葉に一瞬、目を
見開いたように見えた、けど
「────あぁ…」
あれ…?どうして??
それ以上謝罪の言葉を
発することは無かったが、
笑顔には、
なってくれなかった。
寧ろ、
「ほら…立てるか?」
ウィルは欠かさず、
手を伸ばし、アリアを
起こしてくれようとする。
「───はい…」
またいつものような、
堅苦しい仏頂面に
戻ってしまった。
なんとなく
ぽっかりと胸に空いた穴が
埋まることなく、
虚しくそのまま放置
されてしまった感じを覚えた。
そのまま
何事も無かったかのように、
お役目である
お茶を煎れ、
机に置いておくよう指示された。
そしてすぐに…
私は部屋をあとにした。
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