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「そこでもっと
脇を締めて…!」
「ハァ…はぁッ、
は…はい……!」
どのくらい
時間が経っただろう。
大体8時から始まってから
小一時間は経っているとは
思うが、太陽の高さからして
まだ午前中なことは定かだ。
「次っ!!!いきますよっ!」
「はいっ…!」
それは暗に、この訓練が
まだ続く事を意味していた。
エイチェさん曰く、
"午前中一杯"との話しだった。
「…はっ…!」
まだ気温こそ高くないものの、
春の陽射しは強く、
ジリジリと痛みのように
降り注ぎ、ベトつく汗が
うっすらと額を伝う。
ガ、キッン…───
「ッ~!!!あっ…はぁッ……」
「───…おや……」
今日は剣での実践だった。
長時間と感じられる間、
ずっと休憩無しで続けたせいで
疲れにより握力が持たず、
石畳に剣を落としてしまった。
耳につく金属音が
庭に短く響く。
「少々…
入れ込み過ぎましたかね?
休憩にしましょう。」
「は、いっ…すみません…」
すぐ近くの木の下まで行き
影に腰を下ろす。
「ふぅ…涼し…───」
そよそよと風が心地よく
自分を通り抜ける。
こうやって日陰に身をやると、
つくづく日向との温度差を
感じさせられる。
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