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一体何なんだろう。
「その…今日は何だって
ウィルを起こしちゃったの?」
えぇ?
そんなことをわざわざ?
「い、いえっ!起こそう
という気はこれっぽっちも
無かったんですけど…」
事のいきさつを
全て伝えるアリア。
聞きながらレヴィンは、
苦笑いしながら
コクコクと相槌をうつ。
「…ってコトなんですよー…」
「あはっ…それはなんとも
不運だったね…」
「そーなんですよっ!全く!
重いし痛いし苦しいし…!!
─────…それに」
それに…と、言い、
膝をぎゅっとさらに抱え、
目を伏せて続けた。
「…笑ってくれないし。」
ボソッと言い、今度は子どもが
拗ねるように、口を尖らせて
ぷっと頬を膨らます。
「…そっか。」
心の中で納得したように、
それ以上聞こうとはしない。
少しの間、沈黙が落ちる。
聞こえるのは
二人の間を走り抜ける風が、
ざわざわと木葉を揺らす
音、それだけだ。
「───…ねぇ、
レヴィンさん……」
ふっ、と不意に口を開き、
躊躇いがちに言う。
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