-最悪とはまさに-

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少しの間をおいて、 相手はふぅ、とため息を一つ。 そして、流石に 話すには遠いと思ったのか。 ちょいちょいと手招きされ 私は、う…と思いながら とたとたと近くに寄った。 私が距離半ばに寄り止まると、 やっと相手は口を開いた。 「先程の事だが、お前が思う程 私は、気にしてない。 だから…他に何かあるか? …仕事が忙しいのでな。 話しはそこそこに 退出して欲しいのだが。」 最低限の声量。 正直、声を張るのも 面倒臭い、といった御様子だ。 相手はまた迷いなく 資料に目を向けた。 (…なんで、かな───) きっぱりと、整然と、 言い放った『気にしてない』は 私の存在をも指してるようで、 私は何故か勝手に、 悲しい気分になった。 なんでだろう。 思わず… 《…お前なんか…っ……!!!》 「…ぁ……っ」 嗚呼…っ何故、 駄目、駄目だ……! 「は、い…失礼しました…っ」 一礼して、 私はずくさま部屋を出た。 そして、早く遠くに行きたくて 宛もなく駆け出していた。   章,『最悪とはまさに』完 .
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