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バサリ…
今、ここに
一人だと確信した瞬間、
私は力が抜けしゃがみ込んで
咽び、泣いた。
「う…っう……あぅ…っ」
自分の体を掻き抱くように
震える膝を抱えた。
小さく小さく丸くなるように
その腕に深く頭を沈めて。
「ぅく……っ、う…」
熱い────
身体も、顔も、耳も、
火照りを感じる程に。
涙は後から後から溢れて
留処無く滴り、
袖にじんわりと染みを作った。
嗚呼────
先と昔の重なる記憶が、
痛く心に重くのしかかる。
「うっ…あ…っく…ヒック」
まだ、私は…
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