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「───うーん…」
そしてそんな『お兄サン』な彼は
私を立ち上がらせてから、
顎に手を当て
まじまじと此方の様子を窺い、
真剣な眼差しで尋ねた。
「怪我…とかじゃ
なさそう…だな。
体調…でも悪いのか?」
「いえ…ぁ、その……」
「────それとも、何か
気に病むことでも、あった…?」
「っ……、あのっ…えと…」
もう涙は止まってくれたが、
新たに心に生まれた
困惑と、羞恥と、諸々の感情で
思考が上手く回らない。
未だちゃんと受け答も出来ず。
あまりさっきの事は
思い出したく…ないし、
それを話したいとも思えなく…
.
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