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とにかく…
どうにかごまかして
この場を凌がないと…
そう咄嗟に思った私は、
「い…いえ!何もっ…!
もう…何ともないですから!
大丈夫ですっ、はい!
ご迷惑をおかけして
申し訳ありませんでした。」
出来る限りの笑顔をつくり
私はペコっと一礼して、
くるりと背を向けその場を去ろうと足を踏み出した、が。
ぐんっ
「ぅあ───っ!??」
不意に制止させられた上半身。
危うく後に倒れるところだった。
左手を見ると掴んだ彼の手が。
「──なん、ですか…?」
困惑と戸惑いの眼差しで
後を振り返り見ると、
「………」
腕を掴んだままの彼は
先程より明らかに表情を曇らせ
怪訝な様子で此方を見据えていた。
…一体、何………
「…いや、」
「え……?」
「いや…いやいやっ、うん。
そんなつくり笑顔しても、
バレバレだかんなー…
あんちゃん…どう見たって
大丈夫じゃないだろ…」
「……っ」
私は面喰った。
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