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【いってみたいこと。】
―此処は世界W学園。
新しくクラスも変わった。
「ヴェー…あんまメンバー変わってないよねー。」
「…そうだな…。」
新顔なんて殆ど見掛けない。
周りを見るのをやめて、俺は菊にふと目を止めた。
「…何してるのー?」
見ると菊が何故か女の子―しかも見知らぬ制服―の制服を着て、見慣れない黄色のカチューシャをしていた。
…いや、凄く似合ってたけどね。
何か台詞を練習していたようだった。
菊は「一つ、野望があったんです。去年やるはずだったんですが衣装が届かなくて…」
そう言って、残りはお楽しみにしておいて下さいと俺に言った。
…お楽しみも何も、不安なんだけど。
ずっと見てたら次は団長と書いた腕章をつけていた。
「…俺、分かったかもしれん…。」
「…うん、俺も…。」
ルートが深い溜め息をついていた。
しかしこういう時の菊は止めても止まらないことも分かりきっていた。
――――……………
「…えーさて、学年始めだからまずは自己紹介でもしようか。」
そう担任の先生が言った途端に大ブーイング。
でも何故か菊の目だけ輝いて見えた。
気のせいかな。…ううん、気のせいじゃないね…。
回ってくるまで暇だったしシエスタしたかったけど、回ってきたときにしてたら恥曝し以外の何物でもないからやめておいた。
俺でも読める空気はあるんだよ、と。
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