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「なあ、この後何すると思う?」
テオが僕に聞いてくる。この後の予定は黒板にも書いていない。
「何だろうね。前にも「お~い、お前ら~席に着け~」
けだるそうな男性の声が、僕の言葉を遮り教室中に広がる。
その声に反応し、教室の大半の生徒が声の主である先生の方を向いた。
僕は一目見て感じた。『何かがおかしい』
まず、目元に隈があり何故か疲れてる様だ。さらに手には教師が持っていてはいけない物。
簡単に言ってしまえば携帯ゲーム機だ。
「あの人、先生かよ……」
テオはそう呟きながら前を向いて座った。
テオのつぶやきについてだが、僕も同感だ。せめて、あの人が担任で無いことを祈るしかなかった。だが…………
「俺は1―A担任のアデル・ノーランドだ。以後よろしく」
僕の祈りはあっさりと砕かれた。現実なんてこんなものだ。
「これからの予定を話す。話を聞いて無い奴はデコピンの刑な」
何なんだろう、この教師は……きっとクラスメイト全員が思っただろう。
この間にアデル……先生は手に持っていた荷物とゲーム機を教卓に置き、
シャドーデコピンをしてシュ、シュっと音を立てている。
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