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「行ってきます」
「気をつけて行ってらっしゃい」
よくあるような光景だと思う。今、僕は学園に行くために家を出た。
しかし、僕がこれから行き先はいつもとは違う。まして門限6時にも帰って来ない。
今からは行く場所は、
『国立カーライル魔法学園』
国の首都にある全寮制の魔法学園だ。
ただいまの時刻は午前7時、普通なら家を出るには早い。
これには訳がある。深い理由ではない。ただ……ただ家がある町が田舎なだけだ……
観光地は古い町並み。名物は年に一度の祭。ドが付くほどではないが、首都に住んでる人達にとっては十分田舎だろう。
これから父さんの知り合いの人に、ついでで連れて行ってもらう予定だ。
珍しい魔石機関搭載馬車(略して魔車)を持っているとの事だ。まさか自分が乗れるなんて……これほど父さんの人脈に感謝したことは無い。
知り合いの人は町の門にいるらしい。膨らむ期待と共に歩く速度が速くなる。僕は曲がり角を曲がった。角を曲がれば門までは一直線。
「いた!」
つい言葉を漏らしてしまう。そして、少し先に一人の男性と魔車が居るのが見えた。
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