141人が本棚に入れています
本棚に追加
男性は若かった、30代前半だろうか。
「……君がロイさんの所の子のレクサ……君?」
「はい、そうです」
彼の言葉が詰まる理由は分かっている。
いつもの事だ。
「ロイさんから名前しか聞いてなかったから、女の子だと思っていたよ」
そう、名前だ。
ロイさんことロイ・ガーティンが僕の父。
「名前だけだとよく言われます」
レクサことレクサ・ガーティンが僕の名前。見た目は藍色の髪をショートカットにしている。
それに学生服を着ているので、どう見ても女の子には見えないと思う。
「それは悪い事をしたね、謝るよ」
僕にとってはいつもの事だが、彼は気にした様で少し気の悪そうな顔になった。
「慣れてますから、それよりそろそろ行かないと……」
時間はあるが、なにぶん初めての首都だ。道に迷う可能性もあるので、余裕をもって首都には着きたい。
それに魔車にも早く乗ってみたい。
「そうだね、後ろに乗って出発するよ」
「はい!」
いよいよ魔車に乗れるとあって興奮してしまう。僕は魔車の外観を見ながらも中に乗り込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!