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◇
「レクサ君、そろそろ着くよ」
少し前から森の中を走っていたが、徐々に開けてきて光が差し込む。
「そうですね。あっという間でした」
結局、僕はここまでバレットさんにずっと質問を続けていた。
「レクサ君は私に質問責めだったからね。どうだった?」
「す、すいませんつい。とても楽しかったです」
僕は急に恥ずかしさが込み上がり、窓に顔を向ける。窓からは首都の城壁が見えた。
「それは良かった」
魔車は徐々に速度を落とし、門の前でゆっくりと止まった。
「レクサ君、ここでだよ。後は歩いて行ってね」
バレットさんは後ろを振り向き、伝えてきた。魔車を降りるのは少し残念だが仕方が無い。
「はい、送って下さってありがとうございました。それに、お話もありがとうございました」
そう言い僕は、鞄を手にドアを開けて外に出る。
「あ、そうだレクサ君」
僕が外に出たところで、バレットさんが窓から顔を出して話しかけてきた。
「今年は凄い子がいるはずだよ、じゃあ」
凄い子?と思ってると、バレットさんが右手を窓から出してきた。
その行動で、僕はバレットの意図に気づき、僕も右手を差し出した。
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