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― おはようございます
誰かの声で目が覚めた。そんな気がした。
目を擦りながらゆっくりと身体を起こし、周りを確認する。
寝起きのおかげで伸ばすと体中がポキポキといい音を奏でた。
あれ?ここはどこだ?
いつの間にか無機質で真っ白な部屋に俺はいた。
それ程広くはなく四方八方、壁に囲まれていた。
まさか誘拐!?
自身が置かれた状況に顔が青ざめていくのが分かった
壁を勢いよく叩くが壊れそうもない。
ゴッゴッと鈍い振動が伝わるのでかなりの厚さがあると見て取れる。
「ここから出してくれぇ~!」
思わず力いっぱい叫んでしまった。
誘拐犯ならそれで「はい、どうぞ」と逃がしてくれるはずがない。
でも、人間パニックになるとそんな当たり前のことでさえ解らなくなる。
交渉すれば何とかなる。
自分だけの勝手な解釈で話しだけでもと無我夢中で問い掛けた。
― おはようございます、目は覚められましたか?
最初に聞いたあの声だ。
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