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むしろ、マイナスだな。
「あーあ……」
倒れ込んだ姿勢のまま、何度か頭を枕に打ち付ける。
その度に、涙で濡れた布が顔にベチャベチャと張り付いた。
気持ち悪い。
「……はぁ」
僕は今日何度目かになる溜息をついて、目を閉じた。
いい加減溜息をつくのも飽きてくる。
いったい後何回溜息をつけばいいのやら。
明日からの事を考えると、気が重い。
僕が逃げないように毎日家まで迎えに来るとか言ってたしな、櫻井さん。
どこまで鬼畜なんだか。
「……寝よ」
色々考えていても、気は沈むばかり。こういう時は寝てしまうに限る。
泣き疲れていることもあってか、眠気の波はすぐに襲ってきた。
「……バラされないように、頑張るしかない、か」
やがて、僕の意識は完全に闇の底へと沈み………。
『お兄ちゃん!電話だよ?早く出てよぅ!お兄ちゃん!電話……』
覚醒した。
やかましく鳴り響く携帯電話の音色によって。
誰だ、絶妙なタイミングで電話なんかしてきやがって。
嫌がらせか?嫌がらせなのか?
普段かかってこないくせにこんな時だけかかってきやがって。
「誰だよ……」
最近放置気味になっていた携帯電話に手を伸ばし、ディスプレイを確認。
「げ………」
そして、絶句。
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