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もし、本当に神様とやらがいるのだとしたら。
「どうしてこうなった……」
僕はそいつを、思いきり殴ってやりたい。それも、グーで。
何度も、何度もだ。
「神様のバカ…………」
麗らかな春の陽射しが降り注ぐカフェテラスで、僕は頭を抱えていた。
春、という単語にはそぐわないような絶望的な顔で。
「へー、お洒落なお店ですねぇ……」
原因は、僕の目の前に座るこの少女。コイツが僕の悩みの種だ。
確か、名前は櫻井とか言っただろうか。
一応、同じ中学のクラスメートだ。
何故「一応」なんて単語を使うのかと言うと、この少女と僕の間には交流と言うものが一切存在しないからであり。
つまるところ、顔見知りレベルだからだったりする。
で、どうして僕がそんな少女と一緒にこうして喫茶店にいるのかが問題な訳だが。
それを語るには、話を少しだけ遡らなければならない。
事件が起こったのは、今から1時間程前。
僕が、とあるお店から出て来た時の事だ……。
「神崎君は、よくこのお店に来るんですか?」
と、回想モードに入ろうとしていた僕は、すべての元凶である少女の声で一気に現実へと引き戻された。
生まれて初めて、空気を読んで欲しいと思ったのは言うまでもない。
「えぇ、まぁ………」
しかし、さすがは紳士な僕。
嫌な顔一つせず言葉を返す。
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