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「へー、何か意外です」
さらっと失礼な言葉を吐いて、櫻井さんはトロピカルジュースを一口。
……あぁ、殴りたい。
グーで殴りたいっ!
「でもまぁ、学校での神崎君しか知らない人は納得するかもしれませんねぇ」
言って、彼女はニヤニヤと嫌な笑顔を浮かべる。
「あ、ははは……はは……」
殺意が沸いた。
こんなに人をどうにかしたいと思ったのは1時間ぐらい前以来だ。
「皆は、神崎君の本当の姿知りませんからねぇ」
ねちっこい、凄くねちっこい。
彼女は何か、僕に恨みでもあるのだろうか。
まぁ、彼女がここまで言えば気付いている人もいるかもしれないが、僕は俗に言う「隠れヲタク」で、学校ではクールで寡黙な好青年を演じている。
彼女の言う僕の本当の姿とは、ヲタクである僕の本性のことを指しているのだろう。
隠していたヲタクだと言う事実が何故彼女にバレたのかというのは言うまでもなく、僕が「そっち向け」のショップから出て来たのを目撃されてしまったからだ。
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