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まさか、アニメとかでありがちな私の犬になりなさい、とか?
一瞬、頭の中に彼女に足蹴にされる自分の姿が浮かんだ。
……案外、悪くないかも知れない。
「私を、ヲタクさんにしてくれませんか?」
しかし、次の瞬間彼女の口から放たれたのは、予想外の言葉だった。
「……はい?」
思わず聞き返した。
それも、かなりマヌケな声で。
意味がわからない。
品性方向、成績優秀、容姿端麗と三拍子揃った絵に描いたようなリア充である彼女が、どうしてヲタクになりたがるのだろう。
最早、嫌みにしか聞こえない。
「えっと、どういうことなんでしょうか?」
何故か敬語の僕。
いまいちキャラ位置が定まりません。
「理由、聞きたいですか?」
再び、メガネが怪しく光る。
彼女からは「それを聞いたからにはもう逃がさねぇぜゲヘヘ」というオーラが立ち昇っていた。
いや、まぁ、僕の勝手な想像に過ぎませんが。
「ぜ、是非……」
喉がゴクリと鳴る。
無駄な緊張感が走った。
背筋がピリピリする。
「実は、ですね……」
そして、彼女は語りだす。
……えぇ、あの時、僕はすべてをかなぐり捨てて、逃げるべきでした(神崎奏の後日談より)。
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