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「本当ですかぁ?なんだかすいませんねぇ、神崎君」
パァーっと明るい笑顔。
「……よく言うよ、脅したくせに」
「……何か?」
「いいえ、なんでもございません」
くそ、地獄耳め。
「そうですか、なら良いんですけどね」
こいつ、いつか殺す。
絶対殺す、殺し切る。
「さってと、じゃあ行きましょうか」
「へ?」
言って、彼女は飲みかけのトロピカルジュースを飲み干すと、立ち上がった。
「い、行くってどこに?」
突然の行動に戸惑う僕。
そんな僕に向かって、彼女はしれっと言った。
「さっきのお店ですよ、協力してくれるんでしょ?」
「え?今からですか?」
「当たり前です!思い立ったが吉日って言うでしょう?」
それは、何か違う気がする。
多分、多分だけどそれはそういう使い方をしない。
「せ、せめて明日からとか……」
「ダメです」
「きょ、今日は声優さんのイベントを見に行くつもりで……」
「一緒に行けばいいでしょう?」
「そんなぁ………」
そんな調子で、半泣きの僕を引きずるようにして、彼女はズカズカと歩き出す。
……同然の如く、代金を支払ったのは僕だった。
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