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HEAVEN...
それは、ときの知識人の発案で建設された人工の理想郷。
それの存在が明らかになったのは3年前のこと。そのとき私は12歳だった。
ごく一部の人にしか知られていなかったそれが、一般に広く知られるようになったのは、J・ウェンスレイが“THE HEAVEN”という小説で紹介したためだ。
春夏秋冬が混在する都市。
蝶は舞い花は咲き乱れ、植物が豊かで美しい世界。
住む人は穏やかで、また、第一級の文化都市でもある。
しかしその描写はあまりにも非現実的で、本気でそれを信じた者は皆無に等しかった。
あの頃の私だって、それは同じ。興味こそ沸いたが、あまりにも現実離れした内容に、年を重ねていく度に好奇心が消えていった――。
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