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それは、ほんのわずかな出来心からだった。 慣れない機器に振り回されながら作ったサイト。系統はとくになく、掲示板と日記と趣味のページ。 誰にも教えていない小さな自分だけの家のカウンターは当然数字を刻まず、ただ私の足跡だけを確実に記していた。 今日も変わらない、誰も来ない私だけの家。 どんなにゴミだらけになっても埃だらけになっても誰も文句は言わない。 日記は毎日更新するものの、私ぐらいの年頃の女の子が書くような色気のあるないようでもない。 通学路にいた猫が可愛かったとか、そんな他愛もない、小さく些細な出来事をつづっているだけ。化粧品の話もしない、彼氏の話もしない、悪口なんて思いつきもしない。 平凡で普通な私にとって日常はあまりに崩しがたいものだったから。 まぶしく光る私以外の誰かを見たくないから。だから何も思わない、悪く感じられない。 ひたすら流れゆく日々に抗わない私が、青春を駆け抜ける彼らを悪く言うことなどできやしないのだ。
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