始まりの扉

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 私は自分が嫌いだ。  素直になれない自分が嫌い。ネガティブな思考に走る自分が嫌い。人とうまく付き合えることができない自分が嫌い。皆と仲良くしたいのに、一人になりたがる自分が嫌い。 ―――自分が嫌いな自分が嫌い。 (こんなの、終わりがない…)  また、終わりのない思考をする自分に自己嫌悪。 “変わりたい?新しい自分に” 「!」  どこからか聞こえる声にわたしはあたりを見回す。けど、ここは私の部屋だから、自分以外に誰もいないはず。 “君が見えないだけだよ。もし、変わりたいなら…扉を開けてごらん?” 「……扉?」 “そう。扉さ。” 「扉なんて、どこにもないじゃないか」 “あるよ、君の傍にいつもずっと。君が信じないだけだから、見えなくなってるんだ” 「…あるわけ、ない」 “あるんだ。少しでもいい、信じてみてごらん。見えてくるから”  謎の声に言われるまま、私は思ってみる。 ――――私の傍にはずっと、扉があった。  すると、本当に昔からあったように、真白に光り輝く扉が現れた…
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