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「あぁっ!!危ないっ!」
キキィィィッ
空気を切り裂くかのようなブレーキ音。
道路に転がっているのはサッカーボールと少年を守るように抱えた青年。
「だ、だだ、大丈夫ですか!?」
慌てて車から降りた運転手が少年と青年に駆け寄る。
「まぁ、僕はなんとか・・・それより、君は大丈夫かい?」
「うん・・・うぅ、ふぇ、ふぇぇぇぇん」
「はは、安心して気が抜けたのかな?」
泣き止まない少年の頭を撫でてやる。
「ほら、お母さんが来たよ」
少年は母親のもとに駆け寄り抱きついて振り向いた。
「おにいちゃん、たすけてくれてありがとう!」
「もう飛び出したらダメだぞ」
「うん!じゃぁね!!」
母親が来てあっさり泣き止んだ少年を見送った後、ゆっくり立ち上がった青年はオロオロしている運転手を見る。
「貴方も、気を付けて下さいね」
白髪の青年は笑顔でそう言い残して道路を去って行った。
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