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閑散として誰もいない公園を青年は歩いていた。
「チェストォォォォォッ!!」
どごっ
いきなりの後ろからの飛び蹴りを白髪の青年はギリギリのところでかわす。
ちらりと飛び蹴りしてきた犯人の着地点を見ると、そこはコンクリートであるはずなのに・・・クレーターができていた。
「うわっ、危な」
あの蹴りをまともに受けたら死ぬな・・・
「おい、よけんな!」
「嫌だよ!その蹴り当たったら痛いだろ」
まぁ、普通の生物だったら痛いじゃすまされないけど。
当たり前の反論に漆黒の襲撃者は唸る。
「てめー・・・ルシアン」
「なんだい?ミカルナ」
このやり取りも何回目かなー、と思いつつもルシアンと呼ばれた白髪の青年は微笑みながら漆黒の襲撃者ことミカルナの次の言葉を待つ。
「また助けたな!俺の獲物を!!」
またか。
と、いうかヤッパリ。
「おいおい、ミカ。その台詞は涙目で言うことかい?そんでさ、それ言うの何回目だよ」
「俺ははやく帰りたいんだ!ここはいろんなもんが混ざってドロドログチャグチャしてて気持ち悪いんだよ!!」
「そりゃ、僕だってはやく帰りたいさ。まぁ、何にも知らないニンゲンを誑(タブラ)かすのが楽しくないって言ったら嘘になるけど」
「だったら俺の邪魔すんじゃねーよ!」
「だから、僕だって帰りたいんだって。あっちには僕の大切な女の子達がいっぱいいるからね」
「こっち見てウィンクするな気持ち悪い」
「君ってアレだよね・・・たまに、スッゴく酷いよね。真顔でそんなこと言うなんて!僕に、気持ち悪いだなんて!」
ルシアンは両手で顔を覆ってめそめそと泣き始めた。
「うぅ・・・何もかも王達のせいだ!!僕がこんな濁った世界にいるのも、愛しい子達と離ればなれになったのも、ミカに足蹴にされるのもみんな奴らのせいだぁ!」
そんなルシアンをドン引きした目で見ながらミカルナがツッコミをいれる。
「いや、いやいやいや!最後のはてめーのせいだろ!!ルーシーが俺の邪魔すんのが悪いんだろっ!!」
「ミカの口が悪くなったのも、あの時奴らの罠に引っかかったからだっ!!」
「いや、俺がルーシーに初めて会ったのってこっち来てからだから。あっちいた時の俺知らないよな」
「そう、あれは空が蒼く澄んだ呪殺にはあんまり向かないような日だった・・・」
「シカト!?つーか、その語りなに!??」
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