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(もう行くしかないのか。こ、こぇーなぁ)
最終プランを実行すべく、周辺の人通りを確認して、橋元から少し距離を置いてから亜希は河川敷への土手を下り始めた。
「こいつ何も喋んねぇの」
「キメェんだよおらぁ!」
胸ぐらを掴まれたまま後ろに押し退けられてその手をぱっと離されたためにバランスを崩した高宮は、どっと地面に尻を付いた。
「こんな奴相手にしても気が晴れねぇよ糞が!」
どうやら、高宮は運悪く不良の憂さ晴らしに付き合わされているようだ。
「金も持ってないんじゃ殴るしか利用価値ねーよなぁ?」
「いつまで倒れてんだよ。立ておらぁっ!」
不良が座り込んだ高宮の胸ぐらを再び掴もうとした瞬間、
ざぁーっ。
「高宮っ!大丈夫か?」
亜希が現れた。
こっちを向いた高宮の顔には理不尽に殴られたと思われるアザが見られた。それでも、表情は相変わらずだ。
亜希は、高宮達がいる橋下からは少し離れた位置で不良に話しかけた。
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