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運命なんてものを信じるものか
信じてしまえば俺の生まれてきた理由,価値は運命だということ
母の死は運命ということ
そして…自分が神子に生まれてきたことが運命、ということになってしまう
だから俺は運命という言葉が大嫌いだった…
-出逢い-
S side
小鳥の囀りが綺麗に聞こえてくるその小さな里に彼女はいた
「しいな、準備は出来ておるか?」
「は…はい、お爺…頭領!」
彼女─しいなはその小さな手をまだ小さな膨らみしかない胸に手を置きながら明るく返事をする
今日は彼女の育て親でもありその里の頭領であるイガグリと共に王都へ行きある貴族の者を護衛するという任務を任されたのであった。
とは言ってもしいなはまだ10歳にも満たない子供
当然のこと任務などしたこともないため彼女は誰からでもわかるように気分は高揚していた。
また彼女を一番興奮させる理由は場所にもあった
王都、メルトキオ
貴族の街とも言われるその場所へは彼女は一度も行ったことがなくそれをまた夢として行きたいと願っていたのである
そんな時に丁度運が良く依頼が来たため彼女は最初は首を横に振っていたイガグリを何度も説得をし漸く了承を得られたのであった「今一度言っておくが高貴な者たちとは最低限の付き合いしかしてはならん、良いか?」
「わかってます!」
彼女の浮かれて笑う顔にイガグリは少々不安になるのだが、それも無理はないと何も言わずに歩き始めたのであった。
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