プロローグ

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「モテないのはお前が悪いんだろう慧祐、それに優は僕の嫁だ」 「なんだと宗一っ、お前にはつつじがいるだろっ」 「バカか貴様っアイツは僕の姉じゃないか」 このメガネをクイッとあげてる細身の男子はオレの悪友の杉原宗一。 こうみえて制服の下には引き締まった隠れ筋肉を持つ。 「じゃあ宗一っ、優にどっちがいいか聞いてみようじゃないか」 「あぁ、望むところだ」 双方一致の提案。 「「さぁ、優、どっち」」(俺・宗一) 「二人とも、今後一切僕に近寄らないでくれ」 ………一蹴された。 「ところで、遅いねつつじ、何処まで飲み物を買いに行ったんだろうね」 「確かに遅いな………」 まさか、ガラの悪い連中に絡まれてたりして、そんでもってあんなことやこんなことを……… 「しかし、それを俺が助けて、じゃあお礼にとか言っちゃったりして」 「慧祐………貴様、人の姉で何を考えてるっ」 俺の後頭部が痛烈な痛みを伴い打撃を被った。 「なんで俺の考えてることが分かっ………はっ、まさか宗一、エスパーに目覚めたのか?」 さっきの妄想、もといっ脳内シミュレーションをサイコメトリを習得して読みとったというのかっ!? 「優っ、大変だ宗一の前では下手な事を考えられないっ」 「さっき途中から口に出してたみたいだけど」 ………俺が喋ってたみたいだ。 「それにこの学園にガラの悪い方たちなんていませんよ深山くん」 小柄な身体に人数分の飲み物を抱えているこの女子生徒は杉原つつじ。 肌は新雪のように白く、背中まで届く柔らかそうな髪。保護欲を駆り立てるような可憐な容姿はまさにお嬢様のような印象を受ける。 「なんでこんなに可愛い子が宗一なんかと双子なんだろう………これじゃ遺伝子レベルで何かが違うんじゃ」 「慧祐、あの世へ持って行くセリフはそれで全部か??」 「冗談だよ宗一、半分くらい」 「よし、息の根を止めてやる」 宗一との全力鬼ごっこが開始された。 「ふふっ、宗くんも深山くんも楽しそうですね」 「ん~、まぁ慧祐は結構必死に逃げてるようにみえるけどね」 そんな風にいつもの様な死闘を繰り広げているとちょうど昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
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