プロローグ

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校庭の池に菖蒲の花が色鮮やかに咲き乱れる頃。 新入生たちも段々と学校に慣れてきて雰囲気が柔らんでくる。 そんな時期、ある一人の生徒が徐々にその頭角を顕しつつあった。 「くそぅなんで俺はこんなにもモテないんだっ!」 昼下がりの屋上で友人と昼食をとりながら俺、深山慧祐は叫んでいた。 「こら、ご飯食べてる時に行儀が悪いよ」 このわざわざ正座して弁当を食べている、肩にかかる程度の栗毛色の髪をした小柄な男………いや女子(のような男子)は佐原優。俺の、もしもの時の嫁候補だ。 「なんで圧倒的に女子のが多いこの学校で数少ない俺たち男子がモテないんだ」 俺達の通う私立彩涼館学園は、去年までは女子校だったんだけど、今年度、姉妹校の中等部から成績上位の男子生徒3名(つまり俺たち)を試験的に入学させて共学にして良いものか、生徒達の動向を見て判断するって事らしい。 なんでそんなことをするかっていうと、実はこの彩涼館はエスカレーター式の学校で学園の9割は持ち上がりで中学から進学してきた生粋のお嬢様方。 今まで男子とまともに接した事がないらしく慣れるまで様子をみるとかなんとか、本音はそういうことらしい。まぁ俺たちは試験生徒ってことで学費は全免除という特典付きだし女の子(しかもお嬢様)ばっかだしと断る理由もなく入学したんだけど、さすがお嬢様だ………ガードが固すぎます。 というか殆ど相手にされず今に至るというわけ。
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