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その後アイツはまた歌い始めて、チャイムが鳴り終わる頃には何処かへ姿を消していた。
俺はと言うと、アイツだけを見て、アイツの歌声だけを聴いて、ただその場につっ立っているだけ。
気が付いたら後ろに担任教師だと言うチャラい格好をした男が立っていて、頭を思い切り殴られた。
「よお、お前天城李久(アマギリク)だろ?
よくも軽くさぼってくれたなあ、入学式」
あれ、コイツ以外と声低い。
つーかどう見たってホストじゃねえか。
顔は女が好きそうな作りだし、背も高いし………コイツが教師………?
「どう見たってホストじゃん」
「それ言うのお前が二人目だぞ。
他の奴らはビビって近寄ってこねえのに」
「…ふたりめ?」
なんだ、俺みたいに初対面の奴にも平気で何でも言える、図太い神経の持ち主がいたのか。
「ああ、妙に浮き世離れしたチビで……名前は確か……小夜蒼空(サヤソラ)だったか」
「ふーん…浮き世離れした奴ならさっきまでソコにいたけどな。
真っ白な頭したチビが」
「ああ、ソイツが小夜蒼空だわ」
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