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―――は?
あっさり出てきた名前に、思わず固まる。
ホスト擬な教師は欠伸を噛み殺す事無く続けた。
「真っ白な頭に空色の眼をしたチビだろ?
今日からお前のクラスメイトだから、仲良くしてやれよ。
つーか、堂々と入学式さぼってるのお前等二人くらいだからな、気ィ合うんじゃねえの?」
この後のHR位は出ろよ、と言って担任は校舎内へと消えて行った。
俺の頭をこづくと云うオプション付きで。
「…あれが、教師?」
思わず溢れた言葉は、ただ静かに辺りに消えていくだけだ。
俺に対してあんな態度をとる奴、初めてだ。
大人も子供もみんな、俺の事を怖がってんのに。
アイツ、俺のこと知ってんのか?
知ってて、あの態度?
「………帰るか」
考えるのが面倒になった俺は、直ぐにその答えに思い至る。
直ぐに脚は玄関へと向かっていた。
□■□■□■□
「あれ…蒼空君、帰ってんだ」
玄関に着いた俺の視線の先にあるのは、『小夜蒼空』と書かれたネームプレート付きの靴箱。
中を覗くと真新しい青のラインの入った上履きだけが入っていた。
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