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もうすぐHRが始まるからか人気は少ない。
特に行く当てもないので、校舎探索をしてみる事にした。
と言っても、只単にそこら辺をぶらぶら歩き回るだけなんだけど。
「…蒼空君はかなりの放浪癖アリ、か」
蒼空。綺麗な名前。
アイツの瞳と同じ、澄んだ色の名称。
名前を聞いた限りじゃ日本人ぽいけど、頭なんか真っ白だったし、瞳も蒼。
「ハーフ、とか?」
溢した言葉は屋上を目指す為の階段に消えた。
屋上へと続く階段は、太陽の光を浴びて白く輝いて眩しい。
思わず眼を細めて立ち止まると、屋上へ続く扉が閉まる音が聞こえた。
「おいおい誰だよ?今はHR中じゃないのか?」
まあ、俺も人の事言えないんだけど。
苦笑しながら階段を上る。
扉には『立ち入り禁止』のプレート。
こういう物を見たら入りたくなるのが人の性ってもんじゃないの?
現に俺がそうなわけだし。
入ってくださいって行ってるようなもんじゃん?
俺は躊躇いもなく屋上の扉を開けた。
暖かい風が頬を優しく撫でていく。
思った以上に屋上は広くて、四階建ての為に高かった。
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