15人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は思いきり相手を睨みつけた。
それでも相手は何も感じてない様子で、口許に薄い笑みを浮かべている。
―――その余裕たっぷりな態度が、スッゴイ勘に触った。
色素の薄い茶髪の髪をボリボリ掻いて、欠伸を何の躊躇いもなくする。
頭の後ろが跳ねてる……まさか本当にここで寝てたのか?
俺の探る様な視線に気付いたのか、ソイツが俺の瞳を見てきた。
まるで、覗き込む様に。
深い深い翡翠の瞳が、
全てを悟っているかのように、揺らめいた。
「俺は蒼空君のクラスメイト。
李久(リク)って云うんだけどさ、知らない?」
「興味無い」
「あれ、可愛くないなぁ……見た目と中身、間逆だね」
楽しそうに笑うソイツ…李久は、ニッコリと笑みをつくった。
俺が嫌いな、嘘の笑顔。
なんなんだ、コイツ。
「……何とでもどうぞ。起きたついでに教室にでも戻れば、ペテン師さん」
俺がそう言えば、李久は目を丸くした。
まるで俺のこの反応が予想外だったかのように。
「怒んないんだ?」
「アンタこそ怒らないの」
同じ様に問い返してやれば、李久は楽しそうに笑った。
.
最初のコメントを投稿しよう!