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「――――ダメ」
「アレ、即答?」
以外だなあ、何て笑いながら李久は云う。
どうしてかは分からないけど、直ぐに言葉が出てきた。
本能が告げている。
『だめだ』と―――。
「じゃあ、歌はいいや。
その変わり、今日みたいにまた話そうよ。
それがお礼ってことで」
「え、おい」
「あっと、ごめんねー。
俺今日用事あって学校さぼ…じゃない、抜けるんだわ。
じゃあまた明日ね、蒼空くん」
それだけ云うと李久は俺の頭をぽふぽふ叩いて帰っていった。
「…ナニ、あいつ……」
不思議と、嫌な感じはなくなっていた。
今残るのは、本の少しの寂しさと、期待。
この出会いが俺自身を壊して行くなんて、考えもせずに。
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