そして

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清潔なかおりが鼻につく。 しかし私にはこうとしか思えない。 これが地獄の臭いだ― うめき声すら聞こえてきそうだ。 囚人たちは番号をふられ、整然と並べられているはずだ。それなのに私の頭をよぎるのは、いつか見た阿鼻叫喚の図であった。 すぐに管理人がやってくる。まず2人、そしてもう1人。厳しい顔で、勝手に奥に進むなと言う。全員例外なく、体からすえたタバコの臭いがしていた。
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