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せいぜい棚と机の引き出しを探し、それでも無ければ『無くした』と言っていいレベルなのである。 それでも諦めない川上は、ついには冷蔵庫の中まで探し始め、冷蔵庫の中に財布が無い事を確認すると、脱力し、その場にへたりこんだ。 「うっ……俺の全財産が……」 ――昨日給料日だったのに……バイト二つ掛け持ちして、十万も稼いだのに……! どうしよう、もしこのまま財布が見つからなかったら。 俺、明日からどうやって生きていけばいいんだ! 現在時刻は午前十時、つまり実際は明日からどころか、今日一日食べるものすら無い川上なのである。 それに気付いた川上は、一瞬泣きそうになりながらもぶんぶんと首を横にふり、短い髪を掻きむしる。 ――ええい!何弱気になってるんだ俺! 諦めたらそこで試合終了だろ! 命もろとも本当の意味で試合終了である。 ――よーく思い出すんだ……! 昨日の時点ではあった、それは確認している。 一番最後に財布を見たのはどこだ……思い出せ! 川上は、某小僧のように座禅を組み、頭の側面に指を当てて暫く考え込み、そして声を上げた。 「あぁっ! そうだ、管理人さんに家賃を払いに行ったんだ!」  
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